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2025.02.01

Specialpage【vol.16】

ラブレター・フロム・BNB

ーーまずは2025年の春夏のテーマなんですけど。

德田 「LOVE LETTER」ね。

ーーそれは手紙の「LOVE LETTER」ですか?

德田 そうそう。いまって人に何かを伝えるツールって、たくさんあるでしょ。

ーーありますね。でもほとんどがメールだったりLINEだったり、“書く”というより“打つ”って感じになってしまってますけど。

德田 そのなかで敢えて手紙を書くというね。自分の想いを自分の字で伝える。それを受け取った人も温かい気持ちになるでしょ。

ーー手紙って届いたら、なんかハッとしますよね。

德田 どんな便箋にしようとか、封筒はどうしようとか、相手のことを考えていろいろと手間も時間も掛けるやん。もちろん基本はそこなんだけど、そういう部分をいつも以上に意識してものづくりにしてみました。

辻󠄀 最近ちょっと思ってることがあってね。いまは何でもかんでもSNSの時代でしょ。でも、包丁には包丁の、ハサミにはハサミの役割があるみたいに、不変なものの役割って絶対にあると思うのよ。もちろん手紙にも。

ーー例えばどういうところですか?

辻󠄀 自筆で想いを届けるというのはもちろんで、あとは紙の手触りとか、封筒から出して読むという流れとか。だから今シーズンのルックブックにも手紙を付けてみてんけど。

ーー確かに! テーマが封筒に入って付いてました!

辻󠄀 ほんとだったらルックブックの中に印刷したり、SNSにアップしたりしたら済むことなんやけどね。

ーーでも、その方がなんかワクワクしますよね。あれ、これ何やろ? みたいな。

辻󠄀 最近、「アイデアの出し方」みたいな本をちょっと読んだんですけど、「ものを読んだり触ったりを、みんなもっとしなさい」って書いてあってね。あなたの周りにすべてのクリエーションの源があるのに、それに気付いてないって。いまのクリエイターは、あんまりそういうことしないみたいやね。

ーー情報はまずネットで集める、みたいな。

辻󠄀 そうそう。触って気付くこととか、行かなわからないことって、やっぱりあるもん。

ーー辻󠄀さんも德田さんも、よくいろんなとこ行ってはりますもんね。

辻󠄀 想いとか文章でも、手紙にするから伝わることって絶対にあると思うねん。

德田 画面で読むんじゃなくて、手に取って読むと感じ方が違うもんね。服にもそういうとこあるもんね。

ーー確かに。ちなみにお二人は、最近手紙を書いたりしたことありますか?

德田 あります! 最近ちょっとお疲れ気味の友人に。便箋に書くとちょっと重いので、敢えて葉書にしたんだけど。あとは息子の彼女のご両親からお礼の手紙をいただいたので、それの返信も書きました。下手な字でダイナミックに(笑)。

ーー辻󠄀さんは?

辻󠄀 ボクは妻に書きましたね。辻󠄀家では誕生日には手紙を添えることになってまして。

德田 それってスゴく素敵やん。

辻󠄀 あとは義理のお母さんにも書いたし、去年は何通か書いたよ。

德田 手紙って相手に届くまでに、ちょっと間があるでしょ。

ーーLINEのやりとりとは違いますね。リアルタイムではないというか。

德田 LINEもクイックでいいんだけど、返信なかったりしたら、ちょっとモヤモヤしたりするやん(笑)。でも、手紙はすぐに届かないってわかってるから、もうそろそろ届いたかな? どんな気持ちで読んでくれたんやろ? とか思ったりして。まあでも字を書くっていうのは、その人を表すことだと思うし、やっぱり手紙を書くとなったら心を込めて丁寧に書くでしょ。そしたら想いも伝わるしね。だから今シーズンは、皆さんにLOVE LETTERを書く気持ちでものづくりしてみました。

ーーたとえばなんですけど、どんなところに「LOVE LETTER」というテーマが活かされてるんですか?

辻󠄀 「LOVE LETTER」にまつわるグラフィックはもちろんあるんですけど、たとえば「EM in NY」シリーズっていうのがあってね。

德田 同じ素材で、パンツ、ベスト、ジャケットの3ピースを展開してるシリーズ。

辻󠄀 それなんかはパッと見、全然LOVE LETTERっぽくないけど、実はボクから皆さんへのラブレターのつもりでつくったんです。

ーーどういうことですか?

辻󠄀 「EM in NY」って、「ENGLISHMAN in NEW YORK」の略なんです。知ってる、スティングの名曲の?

ーーもちろん知ってます!

辻󠄀 ボクはあの歌には「いつも紳士であれ」っていうテーマが隠されてると思っててね。

德田 面白い歌詞よね。「私はコーヒーは飲みません」から始まって。

辻󠄀 そうそう。で、「紅茶がいい」って続くねん、イギリス人やから。それで歌詞全体を読み込んだときにこの歌は、どこに行っても自分のアイデンティティに誇りと自信を持ちなさいっていうメッセージだと受け取ったんです。あ、そういえばうちの代官山店のスタッフが、地元から東京出てきたときに、お母さんからLINEでこの歌(ENGLISHMAN in NEW YORK)が送られてきてんて。

ーーなんでなんでしょう?

辻󠄀 どこに行っても自分のアイデンティティは忘れたらあかんよ、って言いたかったんちゃう。

ーーめちゃくちゃ粋なお母さんですね。

辻󠄀 やろ。で、「EM in NY」シリーズは、イギリス人がアメリカの仕立屋さんで服つくったら、こんな感じになるんちゃうかなっていうのをイマジネーションしてつくりました。

德田 このシリーズってアメリカっぽい雰囲気なんだけど、スタイリングしたらブリティッシュな空気感も出てくるから面白いよ。

辻󠄀 イギリス人がアメリカでつくったワークウェアやね。だからジャケットなんかでも、わざとちょっとだけ斜行させてんねん。

ーーどうしてですか?

辻󠄀 イギリス人がアメリカでつくったから(笑)。昔のアメリカの服って、ちょっと斜行してたりするやん。

德田 効率重視でつくられてたからね。

辻󠄀 それもそうやし、生地自体も真っ直ぐじゃないでしょ、昔のアメリカって。

ーー敢えてそれを表現したってことですか?

辻󠄀 そうです。パターンテクニックで。イギリス人がイギリスでつくったら、こういう仕上がりにはならないと思うねん。ジャケットの襟なんかでも左右対称じゃないしね、身頃は平面でちょっと斜行してるけど、袖は立体で付けてたりするし、イギリス人がアメリカでつくったとしか言いようのない仕上がり(笑)。

ーーアメリカという異国の限られた設備の中でも、自分がイギリス人だというアイデンティティを服に刻んだってことですね。

辻󠄀 その通り(笑)。だからワークウェアっぽいねんけど、かしこまった感じもあるから、ちょっとしたよそ行きにも使えるという。

德田 これは是非3ピースで楽しんで欲しいよね。

辻󠄀 そうですね。「EM in NY」シリーズは、どんな状況におかれても、誇り高く生きてくださいっていう、ブルーナボインから皆さんへのラブレターだと思って楽しんでください!

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