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2024.02.15
Specialpage【vol.10】
街とも服とも戯れる
2024年の春夏。
ーー2024年の春夏シーズンが立ち上がりましたね。
辻 立ち上がったね~。もういまは次の秋冬の企画やってるけど(笑)。
ーー今シーズンのテーマは何ですか?
德田 「戯れ」!
辻 コロナ禍ではなくなって、やっと仲間と戯れてもいい雰囲気に世の中がなったからね。楽しくいきましょか、と。
德田 それもあるんだけど、私は「戯れ」の「戯」っていう漢字の意味に惹かれた部分もあって。
ーー「戯」ですか?
德田 そう。「洒落てる」とか「風流」っていう意味がまずあって。「あじゃら」とも読めて、そうなると「おどける」とか「かりそめ」なんて意味もあったりするのよ。その意味合いの深さが面白いなと思って、この「戯」っていう日本語からインスピレーションを得た部分はあるかな。
ーーなかなか深いですね。
德田 そうなのよ。で、そっからブルーナボイン流に「戯れ」を解釈して、いつものように辞書っぽくまとめてみました。
ーーなかなか面白いですね。
德田 だから今回のコレクションでは、色合わせで戯れるとか、柄と柄で戯れるとか、そういうのを意識したかな。
辻 ルックブックも戯れながら撮ったしね。
ーーどういうことですか?
辻 モデルさんと一緒に京都に行って、街なかで戯れてもらったんです。これもまあ、コロナ禍では絶対にできなかったと思うしね。
德田 京都の街って色使いとか街並みとかに、独特の空気感あるもんね。
辻 あるある。だってさ、京都タワーってあるやん。
ーーありますね。JR京都駅の前に。
辻 あれ、ろうそくがモチーフなんやで。
ーー京都の街を照らしてるんですね。
辻 街にろうそくを建てるって、すごい発想やわ。
德田 今回のルックの背景にも写ってるもんね、夜の京都タワーが。
ーー德田さんは生まれも育ちも京都じゃないですか。今回の撮影場所って、ほとんどわかるんですか?
德田 街なかはわかるけど、お店は初めて見たとこもある。
ーーすごい綺麗なバーとかありましたよね。同じ場所で同じ格好して写真撮る人でてきたりして(笑)。
德田 それはとても素敵(笑)。実は辻󠄀さんもチラッと写ってたりするので探してみてください。
ーーもう配布はされてるんですか?
辻 してます。ブルーナボインのWebサイトでも見ていただけるので、お時間あるときにでも。ほんとにね、1日かけて京都の街を散歩しながら撮ったので。ページが進むごとに日が暮れていく感じとかも見てもらえたら。
ーー街で服がどんな感じに見えてるのかもよくわかりますね、今回のルックブックは。これ、表紙はインドの文字ですか?
辻 そうです。ヒンディー語。パッと見たときに、人が戯れてるみたいに見えたのよ、うにょうにょうにょって。
ーー確かに戯れてますね。
辻 昔からちょっと憧れてたっていうのもあるし。
ーーヒンディー語に、ですか?
辻 そう。フォルムはもちろんやけど、知らんかったら絶対に読めないという不思議な感じとか。
德田 外国の人から見たら、ひらがなとかもそう見えるかもしれないけどね。面白いよね文字って。スエットにアメカジっぽく入れても独特の空気感出るし。
辻 文字というかグラフィックに見えるもんね。ヒンディー語はこれからも使いたいわ、ずっと。
德田 確かに。クリエーションし甲斐があるもんね。
ーーちなみにルックブックの表紙のヒンディー語は、どういう意味なんですか?
辻 これはもちろん「戯れ」ですよ。
ーー何て発音するんですか?
辻 「ケラナー」。
ーーどう読むか、ほんとに想像すらできないですね(笑)。
德田 新作のファンタジータイガージャンパー2号にもヒンディー語が入ってるよ。
ーーなんて書いてあるんですか、これは?
辻 「ピャール」と「シャンティ」。日本語で「愛」と「平和」って意味。ラブ&ピースやね。で、これは刺繍がまた特殊でね。糸が生地に対して水平に立ってんねん。
ーーだからちょっと厚みがあるというか、立体的になってるんですか?
辻 そうそう。糸が戯れてるんです。
德田 だからその雰囲気を活かして、刺繍の色も敢えてツートーンで仕上げた。
ーーへー、面白いですね。これはもう店頭に並んでるんですか?
德田 並んでます。あと、K-WAYさんとのコラボアイテムも2月9日から販売してるよ。
辻 K-WAYって知ってる? フランスのレインウェア。
德田 向こうでは雨具=K-WAYなんだって。
辻 そう。子供が遠足行くとき、持ってくる物のとこに「雨具」って書かんと「K-WAY」って書くねんて。
ーーそれで通じるんですね。
辻 サランラップと一緒ちゃう。商標があるからアイテム名としては使えないけど、家ではどこのメーカーのラップでも「サランラップどこにある?」って言うたりするやん。それと一緒。雨具のことを、フランスではみんな「K-WAY」って言うらしいよ。
ーーということは、結構歴史のあるブランドなんですね。
辻 1965年にパリで創業。昔は古着とかでもよく出てきたけどね。
ーーどんな感じでコラボしたんですか?
辻 まずコラボしましょっていうのが決まったときに、実際に日本の代理店をやってる商社までアイテムを見に行ったんです。そしたら、もうそれこそハイプレタのコレクションに使われてるモデルから何からズラーッといろんなK-WAYがあって。
ーーそれ全部レインウェアなんですか?
辻 そうやで。いろんなアイテムがあって、いろいろ着させてもらって、最終的に一番ポピュラーなモデルを選んだ。サイズも日本人用に調整とか入ってなくて、フランス人が普段使いしてる形のK-WAYを、どうブルーナボインらしく仕上げられるかやってみようと思って。
ーーそれで、どうしたんですか?
辻 昔、ボクがサーフィンしてた時代に、初めて「雨の日も楽しい」って思うことがあって。
ーー何があったんですか?
辻 夏に海で波を待ってると、めちゃくちゃ暑いのよ。そのときに雨が降ったらものすごく気持ちよくて。雨も楽しいもんなんやと思って、雨の柄をつくったことがあったのよ。で、せっかくのレインウェアなので、雨の日が楽しく待ち遠しくなるものにしましょって德田さんが提案して。
德田 そうそう。それで背中一面に、その雨を降らせてみました。
ーーなかなかハッピーな雨具ですね。
德田 でしょ。あとは左胸のK-WAYのロゴの下にルーラブーラのワンポイントを入れたり、小さくポケッタブルに折りたたんだときにも、そのロゴが出てきたり。
ーーポケッタブルにしたときって、その左胸のプリントがちょうどの位置に出てくるんですか?
德田 違うのよ。ポケットの中に、また別でプリントが入ってる。その裏には名前を書くとこがあったりして、用途に合わせてちゃんと規格が決まってるアイテムなのでね。それをどうブルーナボインらしく仕上げるかを考えるのが、すごい面白かった。
辻 ポケッタブルって言うても、そんなに小さくなるわけじゃないよ。
ーーどのぐらいの大きさになるんですか?
辻 お弁当箱ぐらい(笑)。で、裏側にゴムと金具が付いてて、ウエストポーチみたいに腰に装着できるようになってる。
德田 なんか遠足に持って行く物感あって、それはそれでいいでしょ。
辻 ひと言でいうと、めちゃくちゃクラシックなアウトドアウェア。
ーー色もいっぱいあるんですか?
德田 めちゃくちゃある。でも、今回コラボアイテムとして展開するのは、白と赤と黒と、あとはグレーのようなグリーンのような、ちょっと変わったアンスラサイトグレーの4色展開。
辻 渋谷にあるK-WAYの直営店にも置いてくれはるみたい。
ーーへー、それはすごいですね。
德田 コラボアイテムをブランドの取引先に卸しで展開するのも初めてって言ってたよね。
ーーちょっと雨の多い季節が待ち遠しくなりますね。
辻 雨の季節もやけど、これから2月3月にもちょうどいいと思いますよ。コートとかアウターの下にちょっと1枚入れたりね。春先でも肌寒い日にはシャツの上から羽織ったり。あ、そうそう。そういう使い方もしてもらえるように、フロントのジッパーはダブルジップに変更してもらいました。
ーーそれは助かりますね。
辻 日本はどうしても高温多湿なので、温度調整しやすいように。
德田 ルックブックにもK-WAYを使ったスタイリングがあるので、それもまた参考にしてもらえたら嬉しいです。