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2023.04.28

Specialpage【vol.3】

摩訶不思議な将棋柄。

ーー今シーズンのアロハも、なかなかインパクトのある柄ですね。特に将棋の柄が。

德田 2017年の春夏に麻雀柄をつくったことあって、それに続く日本遊戯シリーズ。あ、麻雀は中国か。

ーーなぜまた将棋なんですか?

辻 将棋って、AIが人間に負けることもある、唯一のボードゲームらしいのよ。何でもAIが優勢なこの時代において、それってめちゃめちゃ不思議やと思わへん?

ーー確かに。

德田 チェスとかはもう完全にAIに敵わないっていうもんね。

辻 で、今回のテーマが摩訶不思議でしょ。ピッタリやん、と思いまして。

ーーちなみに、お二人は将棋できるんですか?

德田 全くできません(笑)。でも、『3月のライオン』っていう大好きなマンガがあってね。羽海野チカさんっていう、凄く素敵な人が描いてるんだけど、その作品の題材が将棋なのよ。それで将棋自体にはちょっと興味を持ったんだけど、自分で差すまでは…。でも、あの81マスの中で壮大な闘いが繰り広げられてるって、ロマンあるよね~。

ーー辻さんはできるんですか?

辻 できるよ。でも将棋の盤に矢印で動き方が描いてある、子供用の将棋でしかできませんけどね(笑)。

ーー今回のアロハにはどの駒が描かれてるんですか?

辻 桂馬でしょ、銀でしょ、歩とか、ひと言でいうと物語のある駒。

ーー物語、ですか?

辻 そう。例えば桂馬だと、3枚持ってたら詰まない将棋はないっていわれてて、それを「三桂あって詰まぬことなし」っていうのよ。まあ、格言みたいなもんです。

ーーなんかシブいですね。

辻 そうでしょ。あとは坂田三吉の「銀が泣いている」とか、羽生さんも「銀が俺にもっと輝けと言っている」とか、棋士の人っていろいろ名言を残してはんのよ。そういうのを将棋好きの人たちにいろいろ聞いて、物語のある駒を選びました。

ーー王将はいてないんですか?

辻 いてない。あいつ役に立たへんから(笑)。

德田 どこでも動ける最強の駒なんじゃないの?

辻 そうやねんけど、王将は詰まれたら終わりやし、もの凄い不自由でもある。

ーー王将が入ってたら、中華料理っぽくなりそうですしね。

辻 ほんまやわ(笑)。で、この図案の将棋の駒が、ちょっと歪んでるというか、不思議な立体感あるのわかる?

ーーそう言われると、確かに奥行きを表す線が、それぞれ違う方向に伸びてますね。

辻 そうそう。僕の大好きな芸術家にフィリップ・ワイズベッカーっていう人がいるんです。その人は平面的やけど立体的っていう、摩訶不思議な絵を描かはるんですけどね。

ーーだまし絵みたいな感じですか?

辻 そういうのじゃなくて、子供がめちゃめちゃ上手に描いたような絵を、大人が描くねん。新神戸にある竹中大工道具館のチケットにもなってるわ。

ーーその人の絵がですか?

辻 絵というか、チケットそのものが、その人の描いたカンナの形になってる。

ーーへー、面白いですね。

辻 竹中大工道具館も面白いから、あれはみんな行った方がいいわ。まあ、その話は置いといて、そのフィリップ・ワイズベッカーの作品が好きなので、将棋のアロハの駒もオマージュして、ちょっと不思議な形にしてみた。

ーー駒に添えられてるのは、何の花ですか?

辻 松とアザミ。その2つは駒とは逆に、めちゃめちゃ平面的に描いてる。あと、生地のベースになってる柄も、よく見たら日本の昔の着物にある小紋柄になってたり、その上には西洋の水玉が飛んでたり、もうワケわからんことになってるというね。

ーーまさに摩訶不思議ですね。

德田 そして、今シーズンはもうひと柄あるんです。宇宙空海という摩訶不思議な柄が。

辻 宇宙空海はですね、Delicious Storeっていう移動式のヴィンテージショップをやってる友達がいるんですけど、彼が面白い柄のアロハを持ってたから、ちょっと参考にさせてもらってね。そのままリプロしても面白くないから、もともと海の中を描いた柄だったんですけど、そこに鳥とかUFOを飛ばせてみました。

ーーそれで宇宙と空がアイテム名に入ってるんですね。

辻 そうです。で、このUFOも、フィリップ・ワイズベッカーのオマージュで、ちょっと不思議な立体感がある。

ーーこういう柄って、どうやって思い付くんですか?

辻 それが僕もよくわからないんです(笑)。デザインってそういうもんでしょ。

德田 でも、将棋の柄みたいな日本っぽい雰囲気のデザインが出来上がるのは、ブランド初期に着物でアロハをつくってた影響もあるよね。

辻 それは間違いなくある。着物はもう山ほど見たから。1万枚とかのレベルじゃないぐらい。

德田 いま思うと、あの頃って何にも囚われてないというか、自由やったよね。着物のアロハに合わすために本藍のデニムまで作って。

辻 生地代だけで持ってた資金の3分の1使ったもんな。

ーーなかなか思い切りましたね。

辻 しかもその生地をジーパン1型にしか使わないという。

德田 危険な香りするよね(笑)。

ーーアロハって、真夏に着るのもいいんですけど、5月ぐらいのちょっと夏日の日に着ると、肌ざわりがめちゃくちゃ気持ちいいですよね。

辻 気持ちいい、気持ちいい。

德田 あと、アロハって、着るとその日の空気感が変わることない?

ーー確かに開放感はありますね。

德田 でしょ。ただ、アロハはコーディネートをちょっと考えないと、やらかしてしまうことがあるから。

ーーわかります。ちょっとチンピラ感が出るというか(笑)。

德田 バランスさえ間違わなかったら大丈夫! あとは小物の使い方かな。

ーーそのバランスが一番、難しいんですよ。やらかさないためのアロハ講座、やってください(笑)。

德田 靴はちょっと考えた方がいいかな。街中ではゴム草履と合わせないとか。

ーーちょっとチャラチャラしすぎますもんね。

德田 海では最高の組み合わせなんだけどね。私はアロハ着てデニム穿いたら、靴はデザイン入ったのをチョイスして気張ってみたりするかな。あとはアクセサリーでバランス取ってみたりとか。

辻 敢えて前を留めないっていうのはどう?

ーーそれは、めちゃくちゃ人を選びませんか? 人によってはイカつくなりすぎるというか…。

辻 それはそうや。でもまあ、好きに着てくれはったらいいと思いますよ。そこがファッションの醍醐味やし。

德田 あ、そうそう。今シーズンはアロハと同じ生地でタイをつくったのよ。かっちり結ばなくても、垂らしたりとか開襟にユルく閉めてもらったりしたらお洒落感出るし、アロハの新しい世界観を見つけた! と思ったんだけど、展示会ではあんまり受け入れてもらえなかった…。

辻 なかなか難しいからね。あのタイを上手に合わせれたら大したもんやわ。

德田 私の空想と妄想では、フランスみたいにファッションを日常的に楽しんでる国では絶対受け入れてもらえると思うねんけど。

辻 まあ、受け入れてもらえるやろね。なんで日本は難しい=アカンになるのかがわからんわ。

德田 私はやりますよ、楽しいから。

ーー着るシチュエーションも難しくないですか、アロハって?

德田 私は祇園さん(祇園祭)のときに着るかな。浴衣の替わりに。

ーーそれ、めちゃくちゃ素敵じゃないですか。

德田 でしょ。祇園祭も今年は久しぶりに制限を設けないで開催されるみたいやし。

ーーいままで意識したことなかったんですけど、お祭りにアロハって凄い合いますね。

德田 もともとがハワイとか海辺の服だから、そういうホリデイな感じの場にはハマるよね。

辻 スカートもあるからね。

ーーアロハと同じ生地のですか?

德田 そうそう。ちょっとロング丈の。

辻 柄と同系色の裏地が付いてんねんけど、それをわざと見えるようにしてあってね。

ーーどういう意図があるんですか?

德田 着物の八掛と一緒で、チラッと見えてるのが粋という。あとは表地よりハリのある生地を使ってるから、穿いたときにいい感じのボリュームが出る。

辻 つくっといて言うのもなんやけど、将棋のスカートって、なかなかパンチあるよな。

ーー確かに。二度見されそうです。

辻 ただ、めちゃくちゃイカしてるけどね。

德田 ジャージ素材で同じ柄のトラックジャケットトラックパンツと、あとはショーツもつくったので、今年の春夏は是非、この摩訶不思議な柄を楽しんでください!

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